AmazonKindle出版をするには、KDP(Kindle Direct Publishing)で出版申請をする必要があります。
KDPで本の詳細を登録し、原稿や表紙をアップロードするのは問題ないのですが、価格設定で突然でてくる「KDPセレクトへの登録」。これには、驚く方も多い方と思います。しかも、その場で決めないと出版申請ができないのですから、悩ましい限りです。
今回は、そのKDPセレクトのメリット/デメリットの解説をします。ご理解いただいた上で、KDPセレクトに登録するかしないか判断し、出版申請をしてください。
KDPセレクトとは?
KDPセレクトは、AmazonKDPで以下のように説明されています。
任意登録の KDP セレクト プログラムに電子書籍を追加すると、より多くの読者に自分の本を知ってもらい、多くの収益を受け取る機会が得られます。Kindle Unlimited の読者が読んだページ数に基づいて出版者に KDP セレクト グローバル基金の分配金が支払われます。さらに、KDP セレクトに登録すると、いくつかのキャンペーン ツールにアクセスできます。
KDPセレクト
また、「KDP セレクトに登録する理由」を、Amazonでは下記の通り説明しています。
ややわかりにくいので箇条書きでまとめてみます。
なお、この「KDPセレクトに登録する理由」にはありませんが、他にも条件がありますので、そちらも追記します。
- Kindle Unlimited対象本になる
- KDPセレクト グローバル基金の分配金を受け取ることができる
- 印税率が70%になる
- キャンペーンツールの利用が可能になる
- Kindleストア独占販売となる
- 期間は90日間、以降自動更新
Amazon側が「登録する理由」と推しているわけですが、それぞれについてメリット/デメリットを確認していきます。
KDPセレクトのメリット・デメリット
KDPセレクトに登録する場合、しない場合の大きな違いを、ざっくり確認してみましょう。
KindleUnlimited対象本になる
◉メリット
- KDPセレクトに登録すると、自動的にKindleUnlimited対象本となります。
unlimited会員にとっては、月会費だけで対象本は読み放題のありがたいサービスです。
購入するほどでもないけど、ちょっと気になる書籍、話題の書籍、とりあえず目についた書籍、、、理由は何であれ、知らない著者の本でさえ気軽に選んでもらるきっかけになることは間違いありません。
これがAmazonのいう、”より多くの読者に自分の本を知ってもらい”にあたります。
- 既読ページが増えると、検索で表示されやすくなり、結果さらに既読ページの増加に繋がります。
◉デメリット
- KindleUnlimited対象本になることを、著者自身がヨシとしない場合には、なんのメリットもありません。
- 「購入」にいたる確率が激減します。ただし、読み放題だから読んだ人が、読み放題でなくても(購入してまで)読むのかは、、、微妙です。
- Unlimited非会員にとっては、差別感が生まれるかもしれません。非会員は購入しないと読めません。
KDPセレクト グローバル基金の分配金を受け取ることができる
グローバル基金の分配金とは、Kindle Unlimited対象本の既読ページ数に応じて受け取ることができる印税(ロイヤリティ)のことです。
- 2022年は1ページ0.5円を切る程度で推移しています。毎月変動します。
- 「既読ページ」になったときに初めてカウントされます。
- 1アカウントで1回のみのカウントです。同じアカウントで何回も読んでも、一度「既読」となればカウント済、以降はカウントされません。
- ページあたりの文字数などは、Amazon独自の計算です。画像をたくさん入れてページ数を稼いだり、読む際に文字を大きくしても、ページ数のカウントに影響はでません。
◉メリット
- KindleUnlimited対象本でも、既読ページが増えると多くの印税(ロイヤリティ)が入る仕組みです。
- 著者自身が自著をダウンロードしても、初回はカウントされます。
◉デメリット
- Unlimited対象本でなければ購入されたとすると、その際に入るはずの販売(売上)の印税は入りません。
印税率が70%になる
◉メリット
- KDPセレクトに登録すると、販売による印税は自動的に70%という驚異的な率になります
- 実際には、本体価格(税抜価格)の70%なので、受取額は販売価格の約63.5%です
◉デメリット
- 販売価格を、250~1250円で設定するのが条件です
- KDPセレクトに登録しなければ、99~20000円で設定でき、印税率は35%です
- より低価格で販売したい場合、あるいは専門書などで高めの設定をしたい場合には、価格設定の幅に「制限」がかかることになります
キャンペーンツールの利用が可能になる
現在KDPのキャンペーンは3種ありますが、日本のAmazonで使えるのは1つだけです。
✔ 無料キャンペーン:1回の登録期間(90日間)ごとに最長で 5日間、本を無料提供できる
✔ Kindle Countdown Deal
✔ 広告キャンペーン
◉無料キャンペーンのメリット(いうほど大きなメリットでもありません)
- 最大5日間を自由に設定できます。
- 「新しい読者を獲得し、読者層を広げることができます。」とAmazonでは考えています。 無料なので、unlimited非会員も無料で読むことができます。
- ランキングがあがったり、いいレビューがつくと、キャンペーン終了後にもいい影響となります。
◉無料キャンペーンのデメリット
- 期間中は「無料版ランキング」に掲載されます。
- 期間中は既読ページのロイヤリティがありません。
Kindleストア独占販売となる
◉メリット
- 特にありません
◉デメリット
- KDPセレクト登録期間中は、他社の電子書籍配信ツールでその電子書籍の販売や無料配布はできません。
KDPセレクト登録期間は90日間(以降自動更新)
◉メリット
- 縛りは90日間、設定により解除できます。
以降自動更新なので、更新しない場合には、登録期間中に設定が必要です。
◉デメリット
- 基本的に登録期間中はキャンセルができません。
新刊出版時のみならず、特定の既刊本の登録、登録解除後の再登録も可能です。
・登録しないで出版し、様子をみてから登録する
・別の新刊を出版したので既刊本を登録する
といった利用の仕方も可能です。
価格変更もKDPから簡単に申請できます。価格変更の申請後、Amazonで確認があり、通常1日程度で反映されます。
KDPセレクトの注意点
KDPセレクトはamazonでの単独出版が条件です。他の電子書籍配信ツールの利用がある場合には、そちらを中止する必要があります。登録する電子書籍が、Amazon以外では入手できないことが確認出来次第、登録可能です。
登録期間は90日。以降自動更新、期間途中でのキャンセルは基本的にできません。更新しない場合には、早めに手続きをしておくことをおすすめします。
「KDPセレクトへの登録の管理」で簡単に設定できます。
- 本棚 → 各書籍のKDPセレクト情報
- 該当書籍のKDPセレクト → 「KDP セレクトへの登録の管理」をクリックします
- 自動更新:「この本のKDPセレクト〜自動更新する」に✔を入れて、保存します
更新しない:✔をはずして、保存します
KDPセレクトに登録中の本が購入された時の印税率は70%ですが、こえは本体価格(税抜価格)にかかります。税込価格の70%ではありません。
500円(税込)のKindle本であれば、本体価格は454円、消費税45円。
販売の印税(ロイヤリティ)は 454円の70% = 317円
※KDP側の切上げ/切捨てで誤差が生じますので、目安としてご確認ください。
よく、解説サイトで500円で販売したら収益は350円!とかありますが、アレ間違っていますので、ご注意ください。
KDPセレクトは登録することがオススメ
あくまで個人的な見解ですが、電子書籍でのベストセラーなどの実績がない場合には、KDPセレクト登録をすることを強くオススメします。
Amazonでの単独販売となっても、電子書籍の利用数(マンガ除く)はなんだかんだいってもAmazonです。紙での販売や、他社のでの販売予定がなければ、Kindle Unlimited対象本として、多くの方にページをめくってもらう方が、リターンは大きくなります。
出版数が増え、読者がついたり、SNSで十分に反応のある告知ができるようになれば、その際に改めて検討すればいいと思っています。
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