Macの基本ソフト Pages を使うと、Kindle出版を始め電子書籍出版の際に必要な形式 EPUBファイル を簡単に作成することができます。
原稿が完成すれば、EPUB化自体は1分もかかりません。
細かな設定は難しいのですが、電子書籍としての一般的な体裁は十分に整います。
ここでは、テキスト原稿を、出版用にレイアウトを整え、EPUBファイルに変換する方法を解説します。
KDPアカウントの登録方法やKindle本の出版申請、表紙データの作り方に関しては、別記事で詳細に解説していますので、そちらをご参照ください。
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データを一式用意
出版用に必要なデータは一式揃えてから始めましょう。
- 原稿(テキスト)
- 表紙データ
- 本文中に挿入する画像
- KDPアカウント登録
原稿は、Pagesで作成することも可能です
電子書籍内で使用する画像などは、必要な加工は済ませ貼り付けるだけにしておきます
表などのデータが入る場合には、画像ファイル(PDF, JPEG, PEGなど)で貼り付ける方が綺麗に表示されます
データの準備が整ったら、電子書籍出版用の原稿として体裁を整えていきます。
Kindle出版 : Pagesで原稿を作成する
原稿(テキスト)を、丸ごとPages に貼り付けます。
- Pagesを開きます

- 新規書類 を選択します
- 基本 から 空白 を選択します

- 横書きの場合には、このままスタート
縦書きの場合には、右上の 書類 → 縦書きテキストにチェックをいれます
- フォント、余白などの設定は基本的に不要です
- 原稿(テキスト)を、Pagesにコピー&ペーストで全てはりつけます
※ 以降、この記事では横書き設定で解説しますが、縦書きでも横書きでも操作は同じです
※ この記事では、リフロー型を想定して解説しています。
Kindle出版 : Pagesで文字の装飾をする
ブログやWebサイトのように、ついついカラフルにしたり、網掛けをしたり、ラインを入れたくなりますが、電子書籍の場合には読み手の端末によっては読みにくくなりますので、できるだけシンプルに、必要な箇所だけ装飾するのがオススメです。
文字の装飾をするには、画面上部 あるいはPages のメニューバー の フォーマットを利用します。

フォント
基本的に設定不要です。
電子書籍の場合、表示されるフォントは決まっています。
Kindleであれば、ゴシック体か明朝体で表示されますが、選ぶのは読者です。
文字サイズ
基本的に自分の作業しやすいサイズで構いません。
電子書籍の場合には、読み手が画面レイアウトを変更することができるので、細かな設定が不要です。
強調したい時などは、サイズ変更して、メリハリをつけることもできます。
太字(ボールド)・斜体(イタリック)・取り消し線
・画面右手に表示される 文字(1) → スタイル(2)→ フォント(3)
・Pages メニューバーのフォーマット(4) → フォント(5)→ (6)
を選択し、装飾することが可能です。

アンダーラインは、横書きの場合リンクと間違いやすくなりますので、避けた方が無難です。
色
文字の色は テキストのカラー から選択することができます。![]()
読者の端末によっては、カラー表示がされないこともあるので、淡い色や多色を使用することはおすすめしません。
リンク
電子書籍内にリンクを貼ることもできます。
リンクを貼りたい文字を選択し、Pagesメニューバーのフォーマット、もしくは画面上部の 挿入 から リンク → Webページ を選択し設定します。解除も同様です。


表示: リンクを貼る語句(選択した箇所が自動表示)
リンク先:Webページ
リンク:リンク先のアドレス
本文テキストの下に、アンラーダインが入ります

リンク先によっては、KDPの審査が通らないこともありますし、審査が通ってもKindle本からはリンクされないこともあります。
Kindle出版 : Pagesで改ページを入れる
章や節(ブログでいう 見出し2 / H2)のタイトルのところで、改ページを入れることができます。
改ページをしたい箇所 (通常は段落の先頭文字)にカーソルを合わせてから、Pages メニューバーの 挿入、もしくは画面上部の 挿入 から ページ区切り を選択すれば、自動的に改ページされます。


原稿作成時に、改ページや章立てなどの目印として複数の改行をすることはよくありますが、改ページした場合には、不要になった改行は削除しておきましょう。
Kindle出版 : Pages で画像を入れる
画像は、本文内該当箇所に貼り付けるだけです。
画像サイズや位置など細かな設定はできないと思った方が無難です。
Pages では、画像サイズをや位置を設定していても、Kindle本の画面上では設定通りに表示されるとは限りません。
画像の位置やサイズにこだわりがある場合には、Pages ではなく、でんでんなどでコード入力し設定することをおすすめします。
画像を貼り付る
画像を挿入したい箇所にカーソルを合わせて、貼り付けてみます。
下記画像のように、微妙な場所に張り付き、周りの文字も巻き込まれることがあります。![]()
画像の位置を調整する
画像を選択すると、フォーマットで表示されるものが、自動的に画像用になりますので、配置 で設定していきます。

基本的には、次の設定で大丈夫です。
- オブジェクトの配置 : テキストと移動
- テキスト折り返し : インライン(テキストあり)
選択すると、自動で移動してもらえます。
サイズが大きすぎる、小さすぎる場合には、画像サイズも調整します。

画像に影/枠線をつける
画像が白っぽい場合や、少し立体的に見せたい時には、影 / シャドウをつけます。
同じ画像を使用していますが、上はシャドウなし。下はシャドウありです。
シャドウをつけることで、画像であることが分かりやすくなります。

シャドウ(影)をつけたい画像を選択します。
画面右側の設定画面で シャドウ をクリックし、利用するシャドウを選びます。
シャドウには何種類がありますので、いろいろ試してみてください。
影ではなく、画像に枠線をつけたい場合にも同様です。
その場合には、画面右側の設定画面で 枠線 をクリックし、好みの枠線を選びます。
Kindle出版 : Pages で見出しを設定する
Pages の機能を使って、見出しを設定しておくと、Kindle本で該当箇所へのリンク付きの目次を簡単に作ることができます。電子書籍ならではの良さの一つですから、ぜひ設定してください。
見出しの作り方
Pages では、見出し3(H4)まで設定可、kindle本の目次でも表示することができます。
- 見出し:章、ブログの場合 H2に該当
- 見出し2 :節、ブログの場合 H3に該当
- 見出し3 :項、ブログの場合 H4に該当
ブログなどをされている場合には、節や項よりも見出し の方がわかりやすいかもしれませんね。
設定方法は、該当箇所にカーソルを合わせ、画面右にある テキスト 下にある 本文 のところをクリックします。

段落スタイル の設定ができます。 見出しを選択すれば、自動的に作成され、画面上でも文字のサイズが変わりますのでわかりやすくなります。

同様に、見出し2や見出し3も設定します。
見出し3ではラインが入りますが、EPUB化した際にはラインは入りません。
Kindle出版 : Pages で目次を作成する
一通り、見出しの設定が終了したら、目次を作成します。
1. 目次を挿入するページを決める
表紙の次(原稿の一番前)か、はじめに と1章 の間に作るのが一般です。
特に決まりはないので、書籍の構成から決められます。
2. 目次を挿入するページ する
目次を挿入する箇所で 改ページ(ページ区切り)し、目次用のページを作ります。
※ わかりにくい場合には、目次を作成してから改ページをしてもかまいません。
※ 目次の後ろは、自動的に改ページされるはずです。
3. 目次を作成する
Pages メニューバーの 挿入 → 目次 → 次の該当箇所 を選択すると、目次が自動的に作成されます。

4. 目次の設定を変更する
3. で自動作成された目次には 章(見出し)だけ表示されます。
※ 目次(章 / 見出し)だけでいい場合には、このステップは不要です。
節(見出し2)や項(見出し3)も表示させたい場合には、設定を変更します。
目次のどこかをクリックすると、目次全体が選択されます。
画面右側に 目次の設定画面 が表示され、目次の設定変更ができます。
- 範囲 : 書類全体
- 段落スタイル:見出し2、必要であれば 見出し3 に✅を入れると、自動作成されます。


※ この時に、目次の横に表示される 数字 は、Pagesでのページ数になりますが、EPUBファイルに変換した際には消える(非表示)となるので、気にしなくて構いません。
5. 目次のレイアウトを整える
自動作成された目次では、見にくい場合にはレイアウトを整えます。
※ 目次の文字数が少ないなどで、気にならない場合にはこの作業は不要です。
章 の文字を太くする/ 大きくする
章(見出し) のどれか1箇所をクリックすると、章(見出し)に該当する文字が一括で選択されます。
原稿右側の テキストの設定画面 で変更できます。
通常のテキストと同様に太字(B)やにしたり、文字のポイント数を上げることで調整します。

節(見出し2)を少し下げる
節(見出し2)を、章と区別しやすくするために、インデントで頭を少し下げます。
節(見出し2)の箇所のどれか1箇所をクリックすると、節(見出し2)に該当する文字が一括で選択されます。インデントで調整します。インデントの数値は自由に調整できます。

項(見出し3)も必要に応じてインデントで調整します。

Kindle出版 : Pages の原稿を「EPUBファイル」に変換する
作業が終了したら、原稿を再度確認し、必要に応じて細かな修正をしていきます。
完成したら、EPUBファイルに変換します。
Pages のメニューバー ファイル → 書き出す → EPUB を選択します。

必要事項を入力します。
- タイトル:本のタイトルでなくても構いません。作業でわかりやすいタイトルがオススメです
- 作者名:変更不要、「著者」である必要はありません。
- 表紙:なし
※KDPで表紙は別に登録する必要があるので、ここで選択しなくも構いません
※表紙をつけておきたい場合には、イメージを選択 して保存することもできます。 - レイアウト:リフロー型
以下はデフォルトのままで大丈夫です。
- カテゴリー:選択不要
- 言語:日本語

入力後、画面右下にある 次へ をクリックします。
保存場所を選び、書き出し ます。

次のようなファイルができていれば完成です。![]()
あとは、KDPに登録し、出版申請することができます。
完成したEPUBファイルでプレビューする
プレビューは、Kindle Previewer を利用すると簡単です。
修正箇所があれば、原稿を修正して、EPUBに書き出し、プレビューで確認し完成させます。
KDPに登録し出版申請する
EPUBファイルが完成したら、KDPに登録し、出版申請します。
特に問題がなければ、通常翌日には審査が通り、出版されます。
Amazonの画面に反映されるまでさらに時間がかかりますので、審査が通った次の日あたりにAmazonで確認してみてください。
google document(グーグルドキュメント)や WORDでも、基本的にやり方は同じです。
コードを使ってレイアウトを調整するよりはずっと簡単ですが、微調整がしにくい、EPUBファイルに変換した時にうまく反映されないこともあります。レイアウトにこだわりがある場合はきっちり作り込んだ方がいいですが、Kindle本のような電子書籍の場合、読者側の端末やレイアウト調整でも変わってきます。文章がメインの原稿であれば、pagesでも十分なのではないかと思います。